1月勉強会「メンテナンスの方法と種類」
タイトル:メンテナンスの方法と種類
講師:川名部 大先生
人は45~75歳の30年間に、平均して約10本の歯を喪失するという統計があります。こうした歯の喪失を防ぐには、歯周組織を良好かつ長期間維持するための健康管理、つまりメンテナンスが大切です。メンテナンスについては、そこへ至るまでの歯周病に対する治療介入によって、段階的に分類ができます。健康意識の高い患者様、歯は健全だがカリエスリスクの高い患者様、に対する予防的メンテナンスです。特にオーバーブラッシングによる歯肉退縮などへの注意が必要になります。歯周外科を行って歯周組織の状態が改善した患者様に対する治療後メンテナンスの場合は、歯周病が再発しないように注意をすることが当然肝要です。これらの他に、歯周ポケットが4~5mmと不安定、病状進行の不安が残る患者様に対する試行的メンテナンス、歯周病進行ハイリスクを抱えてはいるが積極的介入を希望しない・できないような患者様に対する妥協的メンテナンスがあります。これらはメンテナンス間隔を1~3ヶ月と短く設定することで、病状の進行を極力回避することが目的です。メンテナンスに移行しなかった患者様の喪失歯数が平均3.12本なのに対して、メンテナンス移行した患者様の喪失歯数は平均1.08本という事実もあり、メンテナンスがいかに重要であるかが分かりました。
このようにメンテナンスの分類を患者様の口腔の状態や生活スタイル、考えを総合して判断しふるい分けすること、また患者様ごとに歯科衛生士を担当制にすることも、より患者様個々の特性に見合った親密なケアができる有効だと感じました。
<Web動画研修>
研修名:総義歯専門Dr.が語るベーシックテクニック(咬合採得)
講師:松丸 悠一 先生
義歯の作製における咬合高径の決定に関しては、
- 測定基準面を間違わないこと、60~64.9mmという平均値を把握しておくこと、を前提に患者様に力を抜いて閉口させ、口唇が接触したタイミングで測定する方法
- 息を吹く時の口の動きとして、m音を発音させて下顎安静位を測定し決定する方法
などが紹介されました。咬合高径が低くなってしまった場合、赤唇部がうすくなる・口裂がへの字になる。逆に咬合高径が高くなってしまった場合、リップサポートやオトガイ・口角下部の周囲の筋肉が閉口直後は緊張してしまいます。こうした顔貌の状態を観察することも非常に重要です。患者様個々の適正な顎位をいかに正確に把握できるかが、より精度の高い義歯完成に直結し、患者様の「食べる」という機能の回復を果たせるのだということを改めて実感するとともに、その難しさを認識し我々歯科医師は精進しなければならないのだと思いました。
歯科医師 西堀