9月勉強会「JLA ACADEMY 一次救命処置(BLS)デモンストレーション」「Post Endodontic Restoration 根管治療後の修復処置」

<YouTube動画研修>
研修名:JLA ACADEMY 一次救命処置(BLS)デモンストレーション
~JRC蘇生ガイドライン2020準拠~
    JLA ACADEMY 乳児に対する一次救命処置(PBLS)
~JRC蘇生ガイドライン2020準拠~
出 典:JAPAN LIFESAVING ASSOCIATION

我々、歯科医療従事者も少なくとも年に一度は、心肺蘇生法やAEDの使用方法について講習を行っています。歯科治療を受ける方の多くは、受診に際して非常にストレスを感じていることが多いかと思います。そのような状況下ではごく稀に体の不調を訴える方もいらっしゃいます。また、近年の長寿化においては有病高齢者の歯科治療に臨むことも少なくありません。やはり健康な方と比べますと、体調が急変するリスクは高いと言えますので、これらの状況にいつ遭遇しても対応できるスキルを持っておく必要があります。

救命処置のガイドラインは定期的に見直しがなされていますから、我々も最新情報を常に学んでおく必要があると考えます。また、コロナ禍を受けてこうした場面での対応方法にも様々な変化が起きています。直接接触を避ける、人工呼吸は無理に行う必要はないといった点です。日常的に行うようなものではありませんので、咄嗟に行動が取れるよう何度も繰り返し学んでおくようにしたいと思います。

<Web研修>
研修名:Post Endodontic Restoration 根管治療後の修復処置
講 師 :川合 宏樹

深い虫歯や転倒による歯の破折・脱臼といった外傷により、歯の損傷が大きかった場合、歯の神経をとる(抜髄といいます)という処置を行うことがあります。そして、歯の内部に侵入した細菌による感染を可能な限り抑えたら、神経の合った部分を封鎖する(根管充填といいます)という処置が施されます。その後、失われた歯を補うため、歯の土台となる部分を補強(支台築造といいます)し、その後、歯の全面を覆うように被せるという治療を選択します。

この一連の流れにおいて、重要なのが、歯の内部への細菌の再侵入・再感染(細菌漏洩といいます)をいかにして防ぐかということです。いかに理想的な根管充填がなされていても、その後の処置の流れ一つで、細菌漏洩が生じれば、いずれ再治療を余儀なくされることとなります。私自身、歯科医師となった頃は、根管充填後、症状再発の有無を観察するため、即日、支台築造を行うことは少なかったように思います。もちろん、歯の損傷状態にもよるのですが、細菌漏洩防止の観点からは、「根管充填し即日、直接法による支台築造する」という流れが理想的であるとのことでした。

また、いかなるケースにおいても支台築造を行うべきかどうか、という課題についても考察がなされていました。近年の接着修復材料の進歩はめざましいものです。したがって、患歯の歯質の残り方や量を踏まえて、将来的な歯根破折リスクを最小限にするための指針が示されていました。

人が物を食べる以上、虫歯や歯周病といった感染症から逃れることは難しいでしょう。したがって、いかにリスクをコントロールできるか、つまり、予防歯科という考えを来院される方に啓蒙していけるか。これが、歯の喪失リスクの低減につながり、いつまでも美味しく物を食べられる口腔を保つことになり、健康寿命の延伸に直結することだと信じて、日々取り組んでいこうと思います。         

担当歯科医師 林 裕之