7月勉強会「今、この時だからこそ口腔ケア・口腔リハビリを!~口腔ケア専用ブラシを使用した口腔ケア・口腔リハビリ方法~」
蒸し暑い日が続いていますが、皆様いかがお過ごしでしょうか?歯科医師の西堀友啓です。
近年、加齢に伴う多くの臓器の生理学的な冗長性が全般的に障害された状態をいうフレイルや、不活動状態によって生じる廃用症候群という二次障害、運動器障害のため移動が困難になった状態をいうロコモティブシンドロームといった言葉をよく目にするようになりました。今回の勉強会では、「オーラルフレイル」に関わる口腔機能低下症における具体的なリハビリテーションを学ぶことができました。
<WEB研修>
研修名:今、この時だからこそ口腔ケア・口腔リハビリを!~口腔ケア専用ブラシを使用した口腔ケア・口腔リハビリ方法~
講師 : 黒岩 恭子
食事の時の基本姿勢は摂食嚥下機能に大きく影響を与えます。その基本姿勢として、
- 足底を床にしっかりつける
- テーブルの高さは腕を置いたときに肘が90度に曲がる高さ
- 上半身は直立またはやや前傾
- 頸部は軽く前屈している状態など
実は非常に細かく意識を払う必要があるものなのです。
頸部が伸展することを防ぐことが、誤嚥を起こしにくい環境を整えることだということの大切さを実感しました。
口腔周囲の筋肉、舌の筋肉、頸部の筋肉などは、正常の嚥下運動を行う上で非常に重要です。これらの筋力低下を防ぎ、維持するためのリハビリテーションは非常にたくさんあります。口腔リハビリテーションに使用するグッズも、患者様に合わせてオリジナルのものを作るなどの工夫も時には必要なのだと感じました。口腔機能の協調運動を引き出したり、舌運動機能の訓練をしたりすることで、口腔内の自浄作用が保たれ、舌の形状や動きにも変化が出てきます。嘔吐反射が強いために義歯を使用できないという症例でも、リハビリグッズを作製して、脱感作のための訓練を繰り返すことで義歯作製が可能になったりすることもありました。
口腔ケア、口腔リハビリテーション、義歯治療、食事形態の調整を同時に行い、食べる機能障害を改善し、経口摂取が可能な状態へ回復させる。これこそが、日々の生活の質の向上につながり、食事をする喜びを取り戻せることが、健康にも繋がるわけです。口腔機能低下症というのは何も高齢化に伴う機能低下ばかりではありません。先天性の障害により、生後すぐに胃瘻造設を余儀なくされた乳児です。こうした場合でも、グッズを使ったトレーニング、口腔ケア専用ブラシによるストレッチなどのリハビリテーションを行っていきます。とある症例では、乳児の口の動きにゆっくりでも成果が出てくることで、御両親との信頼関係が構築されていき、乳児自身だけでなく、御家族全体の生活活動の向上につながっていくということものを目の当たりにし、大変感銘を受け非常に意義のある学びとなりました。
歯科医師 西堀