6月勉強会「防災訓練」「院内感染対策」

6月の勉強会は、前半は毎年実施している防災訓練を実施。
後半は当院歯科医師 小倉先生に講義をして頂きました。

<防災訓練>
動画視聴
タイトル:地震から命を守る家具類の転倒・落下・移動防止対策
―東京消防庁公式チャンネルよりー

地震大国日本において阪神淡路大震災や東日本大震災クラスの地震はどこでも発生してもおかしくないという事は認識しておく必要があり、昨今、比較的大きな地震が四国内でも感じられることが増えたように思います。近々起こるとされている南海トラフ地震、いつ発生してもできるだけ被害を最小限に抑えられるようにする対策や 心掛けを持っておくようにはしたいものです。
防災訓練の実施は義務化されており、優心会でも年2回実施しています。しかしながら、コロナ禍に入ってからは、感染予防のため、模擬消火訓練や避難訓練といった、密を生じる訓練内容での実施ができておらず、一人ひとりに防災の意識づけをすることが難しいなと思っています。
今回は家具転倒防止対策に関して、事前に医院内の現状を巡視し、問題点の抽出をおこなった上で、実際の対策について動画を用いて理解を深め、各院において、早急に改善できる箇所から改善を図っていこうということになりました。棚など転倒の恐れのあるものに関してはレイアウトの見直し、転倒による直接的な怪我、火災発生、避難障害の防止を図るとともに、L型金具・ポール式器具・ストッパー付きマット等を使用して転倒防止対策を講じる必要があります。歯科医院においては鋭利な刃物、劇薬などの薬品の取り扱いも多いことから、地震対策のためだけではなく、常日頃からの整理整頓を心掛ける必要があると感じました。観音開きの棚においては地震規模によっては容易に開いてしまい、収納された物品が散乱する可能性が高いので、簡易なフックのようなものの設置も検討する必要があると感じました。

<院内研修>
研修名:院内感染対策(施設基準)
講 師:小倉 直 先生

コロナ禍により、人々の感染対策に対する理解・意識は非常に引き上げられたことは、なんとも皮肉な話です。しかしながら、医療現場においては様々なシチュエーションでの感染リスクが待ち受けています。そもそも感染対策として講じるべきことは?万が一、感染が疑われるようなことになった場合、どのように対処すべきなのか?拡散しないためにはどう行動すれば良いのか?といったことを改めて学び・考え、日々の診療に細心の注意を払ってあたることを意識させるための重要な研修でした。
今回は、HBV・HCV・HIV・TPといったものへの理解を深めました。中でもHBVに関しては未だ有効な治療方法は確立されておらず、肝硬変や肝臓がんへの移行リスクも高いことから、新型コロナウイルス感染症なども含めた他の感染症と比しても一層の注意が必要と考えられます。HBVは血液感染によるものなので、特に歯科治療現場においては針刺事故や血液の飛散による粘膜を介した感染への対策が重要ですので、「感染を起こさない」ということが何より重要ですが、万が一にも感染を起こした場合に備えてのワクチン接種やマスク・フェースシールドなどによる対策も重要と言う事を再認識できた研修でした。

<訪問口腔リハビリテーション>

歯科治療には、保険診療と自費診療とがあります。
保険診療とは、国が定める規則に従って定められた診療報酬のもと、患者様に提供される診療になります。この規則が、2年ごとに改正が行われています。この改正内容から、日本社会における歯科医療へのニーズや国が重点課題とする分野を推し量ることができます。

優心会では今回の改正で訪問診療における「訪問口腔リハビリテーション」や「栄養サポート」といった分野への舵切りがなされたと捉えています。平均寿命が年々延びる一方で、「健康寿命」というものが注目されています。人にとって最後に残る「食べる喜び」をサポートすることが、私たち歯科医療従事者の使命であることを再認識しました。単にむし歯や歯周病を治療し、予防に取り組み、入れ歯を作り、噛めるようにしても、飲み込むことがままならない、となっては結局食べる喜びを失うことになるのです。 口腔機能が低下した患者様、摂食嚥下障害を患っている患者様に対して、訪問口腔リハビリテーションを実施し、栄養士さんなど多職種間での連携を図って取り組んでいけるよう、今後、院内勉強会で様々なリハや管理指導方法を研修できるので楽しみです。   

歯科医師 阿部 隆