1月勉強会「欠損補綴におけるパーシャルデンチャーの優位性と治療戦略オーバーデンチャー編」

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研修名:欠損補綴におけるパーシャルデンチャーの優位性と治療戦略オーバーデンチャー編
講師:相宮 英俊 先生

今回は欠損補綴に対するオーバーデンチャーについて学びました。オーバーデンチャーというと、個人的には「残根の上にただ義歯を入れて覆い噛めるようにするもの」という漠然なイメージしかありませんでした。

しかし、そんな安易なものではなく、作製にあたっては何より、残存する根や顎堤の形状にあわせて、義歯の着脱方向とアンダーカットをよく考えなければならないものであることを知らされました。残存歯のない顎堤とは異なり、残根を有する顎堤の場合、上顎前歯部では、一般的な歯軸方向の傾斜の影響で、歯槽部顎堤頂から頬粘膜移行部にアンダーカットが生じます。したがって、このアンダーカットへの対応が重要になります。一般的に外科的侵襲は行わず、

  • 義歯床の床縁を最大豊隆部に設定する
  • 天然歯と顎堤の形を整えアンダーカットをなくす
  • 残根を抜歯し、顎骨の吸収を待つ

といったアプローチがとられることも学べました。

また、すれ違い咬合などで咬合平面の崩れてしまった患者様に対して、オーバーデンチャーとすることで平坦な咬合平面を付与することが可能となった症例、顎堤の高度吸収をきたした症例に対してオーバーデンチャーにより意地を獲得するという症例、などは自分が今まで見たことのない症例であっただけに、大変興味深いものでした。

最近は、磁性アタッチメント義歯が保険収載されましたので、「オーバーデンチャーでは、残根には根面コーピング」するしかないという考え方も変わることになりそうです。従来、磁性アタッチメントの装着は保険適用外の治療ということもあり、積極的に行われるものというわけではありませんでした。高齢化の進む現代社会で、義歯に対するニーズはより深まることは必至なだけに、オーバーデンチャーという可能性にもっと研鑽を深めていく必要を感じました。