9月勉強会「クリンプロ ホワイトバーニッシュの商品説明」
講師:スリーエムジャパン株式会社 髙橋 由香先生
知覚過敏予防について、商品説明を兼ねて3M所属の歯科衛生士、髙橋由香先生に講演いただきました。
知覚過敏とは、歯ブラシの毛先が触れた時や冷たい飲み物、甘い食べ物を摂取した時、風が当たった時などに感じる歯の痛みやしみる症状を指します。知覚過敏の痛みは「キーン」と鋭いものではありますが、基本的に一過性です。一般的には、歯の神経に炎症が起きている、むし歯になっているなどの病変がないにも関わらずこうした症状がある場合、私たちは知覚過敏が生じていると診断します。
元来、歯の最表層はエナメル質という硬い組織で構成され、ここには知覚がありません。この内層には象牙質という組織があり、歯が受けた刺激を神経に伝える役割を持っています。しかし、歯の根っこ(歯根)にはもともとエナメル質が存在しません。したがって、歯周病や硬すぎる歯ブラシの使用、磨く力が強すぎるなどの原因で、歯ぐきが下がったり、歯ぎしりや食いしばり等による過剰な力で歯の根本のエナメル質が欠けてしまうと、象牙質が露出します。こうして露出した象牙質表面が受けた刺激が、痛みやしみる症状として現れるのです。これが知覚過敏の仕組みです。
今回、3Mから「クリンプロ ホワイトバーニッシュ」という、アメリカで10年以上の実績があるフッ化物バーニッシュ材を推奨していただきました。個包装で、3種類のフレーバーがあり、使用前に歯の表面を水で洗う・乾燥させることなく使用できるという製品です。バーニッシュは、歯の表面に耐水性の被膜を作ることで、歯を溶けにくくし感水を防ぎます。特に生えたばかりの永久歯や、歯ぐきが下がって露出した歯根の表面に行うことが多いです。本製品は6歳以上の方であればほとんどの人が使用でき、痛みを誘発しないため、患者様にもストレスフリーで使用できる利点があります。また、神経に刺激を伝える象牙細管の入り口に蓋をし、これにより知覚過敏症状を抑えると同時に、フッ化ナトリウムを含むコーティング層も形成され、24時間かけてフッ素が徐放され、歯質を強化します。歯面に塗布しても段差を作らず、24時間以上経過したものは歯ブラシ等で容易に除去可能です。
私自身、フッ化物バーニッシュについての理解がまだ浅かったので、この機会に多くを学び、体験することで知識が深まりました。是非、悩まれている患者様にも推奨したいと思います。
研修歯科医師 朱 孔暉